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夜来香 ~若叔母と甥の危険な関係~
第9章 触指
「そう…陽翔がね期末テストで学年10位に入ったらドライブに連れてけってしつこいから…明日行こうと思って…土曜日だしいいよね?……」

【ドライブ?…そんな約束してないけど…】

きょとんと叔母を見ると、目配せしてきた。
僕は慌てて調子を合わせる。

「そうだよ…だから頑張れたんだから…いいよね?…母さん…」

「明日って唐突ね…まぁ、学校は休みだからいいけど…結奈、車持ってないでしょ…」

「そこはレンタカーに決まってるじゃない…私、仕事してた時は営業車乗り回してたんだから腕は確かよ……」

姉は単に勉強のご褒美のドライブだと信じて疑わないようだった。
私は陽翔に視線を向けて姉にわからないようにウィンクして見せる。

【約束は守るよ…でも流石に姉さんのいる家であれ以上はできないでしょ……わかるよね?……】

言葉にしたわけじゃない。
それでも陽翔にも伝わったようだった。

【もう1日、もう1日我慢だ…そしたら明日には結奈さんに…触らせてくれる…そういうことだよね?…】

「ところで姉さん、中間テストの時はお寿司だったけど今日は何?……」

「ん?、今日はね…トンカツよ……」

やっぱり姉は姉だった。

「それってテスト前に出す料理じゃない?……」

「そう?…でも陽翔好きよね…」

晩ごはんのメニューなんてどうでもよかった。

「うん、そうだね……」

【心ここにあらずか…】

「じゃあ、明日は10時過ぎに出発するから…」

これで話しは終わりのはずだった。

「あ、そうだ…結奈、私からもお願いがあるの…」

今度は私がきょとんとして姉を見る。

「来週の週末ね、透さんのところに行って来ようと思ってるの……陽翔のことお願いできる?…」

相変わらず唐突だった。
日帰りのドライブなんて比較にならない。

「お義兄さんのところに?…来週ってもう夏休みに入ってるよね……週末って土日だけ?……」

「ううん…金曜日から出かけるわ…」

陽翔も初めて聞いたような反応だった。

「お盆には帰ってくるんじゃないの?……」

二泊三日だなんてちょっと考えてしまう。

「そうなんだけど久しく行ってないから…帰ってくる前に向こうのお掃除とかしたいのよ……嫌なの?…陽翔の面倒見るの?…」

穏やかな口調で本人の目の前で言ってくれる。
そんな言い方されたら断れるわけがない。
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