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背徳の障壁とその先にある翡翠
第1章 背徳の障壁とその先にある翡翠
ジェラルドはワイングラスの汚れを拭いながらミーナの話しを聞くともなしに聞き流していた。
あなたもコックさん?
なぜそんな事を言う?
見れば分かるわ。
私もレストラン経営者の孫よ。
こんな寂れたレストランの汚れたワイングラスなんて
一般人なら拭かないわよ。
ああ…これか。長年の習慣はとれないらしい。
君はよくしゃべるんだな。
見ず知らずの男にそんなに語っていいのか?
もう見ず知らずじゃないでしょ。
ハハ…面白いな。君は
初めて笑ったわね。なかなか良い笑顔じゃない。
久しぶりだった。俺が人前で笑うのは。
この娘は不思議な魅力がある。
人懐っこいからか?
その傷は?どうしたの?
ずいぶんと古い傷みたいだけど。
ああ、これか。
若い頃にちょっとな。
ミーナはジェラルドの話しをさえぎるように
食料なら少しくらいならあるから分けてあげる。
あなた悪い人じゃなさそうだし。
ちょっと待ってて…
ミーナはそういうとキッチンらしいところから
中に入っていった。
ふぅ…人の話しを聞くのも久しぶりだ。
ジェラルドはひと息吐きながらタバコに火をつけると
汚れた椅子の埃を払い落とし腰をおろす。
ねえ…何でもいいでしょ?
そんなにないから。
キッチンからガサガサと音を出してミーナが喋っている。
ああ。何でもいい。腹の足しになるなら。
す…すまない。
ジェラルドは自分をあまり出さない性格だが
何故か素直になれた。
無口で卑屈な性格でその外見からか人から敬遠される。
ミーナは奥から何やら抱えて出てきた。
紙袋に無造作に押し込むと水のペットボトルなども数本入れていた。
ミーナは紙袋をカウンターに置くと少し高めの椅子に座り
ねぇ…何か話して。
何でもいいわ。人と話すの久しぶりなのよ。
私ばかりさっきからしゃべってるわ。
あなたの話しを聞かせて。
人に話すような事は何もない…
何でもいいのよ。テレビで見たドラマや映画の話し
近所の人の噂話、読んだ小説の話し。
…幼い頃の話し。とかね。
沈黙が10分続いた。
暗闇に明かりが灯り火が揺らめいている。
ドアからの隙間風に時折消えそうになりながらも耐えていた。
ジェラルドは沈黙を嫌い、口を開いた。
ある男には妻がいた。
妻は病気を患いながらも働いていた。
性格はいたって普通…ではない。
人とはよくぶつかっていた。
自分の信念を曲げようとしない。
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