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代車
第11章 智美 2
退社時間が過ぎ 何時もの様に渡部は作業を続け
7時前にパソコンの画面下の時刻に目をやり 壁の時計を見る
作業を続け
「差し入れ」と弾んだ声で橋本が渡部の席にコーヒーを置き
「有難う」画面から目を離さずコーヒーを 飲みながら作業が続けられ
渡部が背を伸ばし 画面の暗くなるのを確認し橋本に目を向け
「何食べたい?」と聞くと
目を輝かせ
「ラーメン」答えが返って来た
車に向かうとき 渡部の腕に橋本は胸を押し付ける様に腕を絡め
車の中で橋本が
「今日ラーメン連れて行って貰おうと決めてたんだ」
楽しそうに話していた
食事が終わり 橋本の自宅前に止めた時
橋本が渡部に向かい
「渡部さん私の事嫌いですか?」おびえた目で尋ねてきた
渡部は優しい目で
「嫌いじゃ無いよ!」と答え
「お休み」と手で玄関を指した
橋本が次の言葉を 出そうとするのを
渡部が少し強い口調で
「お休み」と橋本の目を見ながら言う
橋本はドアを開け 寂しそうに玄関に消えた
渡部は橋本の姿が消えた 玄関から目を前方に向け
少しの時間を空けて 自宅に車を走らせた