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代車
第12章 麗と弥生
渡部が昼食を取っていると、前に飯田と熊谷が座った
周りの席の社員達が 昨日の件で好奇の目を向け
熊谷が頭を下げ
「有難うございました」と小さな声で言った
渡部は箸を置き 優しい目で熊谷を見た 熊谷も目を合わせ
「土曜日、起きた時 母に電話したんです」
「母の声が聞こえたら 泣いてしまって」
「母が幾ら必要なのって 最初に言ったんです
私300万って 言って泣き続けて」
「母黙って聞いて呉れてたんです 私が泣き止んで 落ち着いたら」
「月曜振り込むから使いなさいって 理由も聞かないで言ってくれて」
「私また泣いてしまって 泣いてしまって、落ち着いたとき 母に聞いたの」
「何故 解ったの?」
「母が私に 貴方とは一年 お腹の中で話してたでしょうって」
「言ってくれて 私また泣いて、泣いて、電話終わらせてしまって」