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代車
第13章 智美 3

土曜日

5分前に智美のアパートの前に車を止めると智美がバスケットを抱え乗り込んで来た

「待ったの?」走らせながら聞くと 

「今2階の部屋から 降りて来たところです]
目を輝かせ渡部を見つめ 少し大きなバスケットを大事そうに抱えて居た 

「それは?」渡部が聞くと 

「お昼作りました海で一緒に食べようかと思って」
照れた様に言った

バスケットを押さえ 車の中で智美は饒舌にトレンドドラマの話 映画の話
好きな絵の話としゃべり続け 1時間ほどで海岸に着いた 

折りたたんだシートを抱え 海岸を歩く シーズン前の砂浜は
竿を海に投げ込む釣り人と 波打ち際で遊ぶ
子供を見る 家族連れが居るぐらいだった

シートに腰を下ろし 智美が体を寄せ
渡部の腕を抱き込み 頭を渡部の肩に預け
海を見つめ始め 汐の音だけが二人を包む 

「渡部さんお名前は?」
智美が顔を上げて 聞いてきた

「和也」
渡部が答えると

「和也さんて呼んでも大丈夫かな?」
不安そうに 渡部を見た

「良いよ」
答えると 智美の顔が明るく成り

「和也さん」
渡部を見る

渡部は智美を優しく見つめ

「何?」 

「呼んだだけ」
眩しそうな顔で 智美は渡部を見つめた

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