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代車
第16章 智美 最終章
火曜
前田の前に 渡部は智美を連れ 二人前田の前に
前田が顔を上げ 渡部を見た
二人交際を始め一緒に成ると渡部が言うと
智美と前田が 驚いたような顔をして見た
「公私混同だけ するなよ」
前田は言いながら 書類に目を落とした
智美は目を輝かせ 何か言いたげなのを席
に戻るよう促し 昼休み智美が
「和也さん さっきの話 本当ですか?」
顔を覗き込んで来た 渡部が智美を優しい目で見つめ
「いやかい?」
聞くと首を振り
「有難うございます 宜しくお願いします」
と頭を下げ
渡部の話は その日のうちに会社の中に広まった
渡部と付き合いたいと思っていた女子社員と
智美と付き合いたいと 願ってた男子社員は落胆した
退社時間に成り 渡部が街中に車を走らせ
智美が
「私、ご飯作ります 外食ばっかりだと勿体ないです」
と主婦の片鱗を見せ
車を止め ジュエリーショップへ入り 預かり証を出した
智美は嬉しそうに 後ろを付いて来て
預かり証を 出したのを不思議な顔で見ていた
店にはカップルが 指輪を検討していた
係が三つの小箱をカウンターに置き
こちらが 婚約指輪ですと箱を開け
そこには一カラットの立爪のダイヤモンドが
店内の灯りを 取り込み輝いていた
「智美ちゃん!」後ろに居た智美に声を掛け
智美が横に立つと 智美の手を取り指輪をはめ
智美の指の上でダイヤが煌めき
「奥さんに成るね」
渡部が言うと 首を何度も縦に振り 涙を浮かべ始めた
店員が おめでとうございますと
声を掛け指輪を見ていたカップルが
渡部たちを見ながら拍手をして来る
ハンカチを智美に渡すと受け取り
智美は涙を拭いた・・・