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代車
第5章 綾乃
「二人で 見つめ合っている姿 主人の目 優しかった」
「恋人を見る 目なの・・・私を見つめるより 優しい目なの」
「それを・・見てね・・・」 間が開いた
「かなわないわ・・・・」小さく呟いた
綾乃の目が潤み 涙が溢れ出た
綾乃は渡部を見ながら 声を出さず涙だけを落とし続け
スーツの膝に涙がシミを広げ 渡部がハンカチを差し出した
グラスを持ったまま 綾乃は夜の夜景を見つめていた
渡部は黙って横顔を見て 綾乃の顔が渡部を向いたとき
「行きましょう」
渡部は立ち上がった 綾乃が付いて来る
エレベーターホールを過ぎ階段を降り始め
「下まで歩かせるの?」
何時もの声で綾乃が話掛け 19階でフロアーに出て部屋の鍵を開け
ドアの前で綾乃は立ち止まり
「渡部君」と強い語調で呼び止めた
「入って見てください ここ 寝室2つ有るんです」渡部の言葉に
綾乃が入り 部屋を見渡し
「広いわね・・・」バックを持ったまま部屋の中を歩く
「宮崎さんそちらの部屋使ってください 鍵掛けられますから」
渡部は話しながら スーツをクロゼットに入れ
「私、シャワーしてきます」 渡部はシャワールームへと入って行った