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代車
第5章 綾乃
シャワーから出ると 室内の明かりが消え
窓際で椅子に腰かけ 窓の外を見つめる綾乃がいた
渡部は黙って近づき 綾乃が顔を上げ
目には 薄っすらと涙が光っていた
綾乃の髪に手を当て 静かに撫で
綾乃は顔を、町の夜景に無言で向け
静寂の中 背中が震え始め
「 渡部君 ごめん 泣かせて 」
声を出し 泣き始めた
渡部の腰に顔を付け 嗚咽を繰り返し
渡部の胸に 綾乃は拳を 何度も何度も叩き
渡部は髪を優しく撫で続け、
気持ちが 落ち着き
「 有難う 」
顔を見せないよう 横を向いて涙を拭き
「シャワーしてくる 覗くなよ」軽い口調でバスルームへ消えた
渡部は ブランデーを入れた グラスを持ち 窓の外を眺めていた
バスルームから出る音が聞こへ
バスルームから 漏れてた 明かりが消えると
町からの明かりだけが 室内を浮かびあがらせ
振り向くと 白いバスルームを 着た綾乃が立っていた
「渡部君抱いてくれる 私の事 今夜だけで良いから」
バスローブを落とし 渡部に語りかけた
褐色の肌と 足の間の陰りが ぼんやりと部屋の中央に現れ
渡部は 綾乃をじっと見つめ グラスをテーブルに置くと
綾乃の傍に歩み寄った
おびえた目で 渡部を見つめてくる・・・