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ジャスミンの花は夜開く
第4章 疑念

「おはようございます!配送に伺いました!」
ネットで注文していた家具と家電が届いた。
爽やかなイケメン配達員が二人。
テキパキと梱包を剥がし、茉莉花の指示通りに家電が設置され、家具が組み立てられて行く。
「冷蔵庫はこちらでいいですか?」
「テレビの設置位置はどうしましょう?」
茉莉花はシャワーを浴びておいて良かったと思った。
イケメン配達員に自分の汗と牝の匂いを嗅がせずに済んだからだ。
「これで終了ですが、いかがですか?」
それぞれのセッティングを終え、配達員が聞いてきた。
改めて部屋を見渡す。
ダイニングキッチンには小さなテーブルと椅子。
他には冷蔵庫と電子レンジに食器棚。
実はリビング兼寝室の方に問題があった。
大きな掃き出し窓の右脇に、前の住民が置いていったファンシーボックスがある。
部屋の隅にあるから気にはならないが、狭い部屋だ。
インテリアの配置は効率的にしかたったので、移動を配達員に願い出たところ「いいですよ」と快諾してくれた。
それを反対側に移し、隣に購入した小さなローボード、上にテレビを置き、そのすぐ隣には押入れの引き戸が2枚あるので、家具類は片一方へ寄せることができた。
これで少しは部屋が広く見える。
「ではこれで終了ということでよろしいですか?」
「ありがとうございました」
茉莉花は深々とお辞儀をし、配達員を見送った。
引っ越し翌日でどうにか部屋としての体を成すことができた。
午後にはアルバイトの面接も控えている。
上京2日目にしてアルバイトも決まってしまえば、全てが丸く収まる。
配達員が帰ったのがわかったのだろう。
大家が訪ねて来た。
「もう荷の搬送は終わったかい?」
「はい、おかげさまで。早くから音を立ててしまって済みません」
「いやいや、儂はもっと早くから起きてるから大丈夫じゃが、向こう隣はまだ寝とるかもしれんな」
「あっ、そうなんですか?」
「今日は土曜じゃからな」
仕事をしていない茉莉花は曜日感覚をすっかり忘れていた。
「東京では隣近所に『これでもか!』ってくらい配慮しないとダメだからね!どんなトラブルがあるかわかんないんだから!」と母に言われたことを急に思い出した。
「でも、まあ大丈夫じゃろう。昨日は夜遅くまで…、うん」
と呟いたところで大家が言い淀んだ。
ネットで注文していた家具と家電が届いた。
爽やかなイケメン配達員が二人。
テキパキと梱包を剥がし、茉莉花の指示通りに家電が設置され、家具が組み立てられて行く。
「冷蔵庫はこちらでいいですか?」
「テレビの設置位置はどうしましょう?」
茉莉花はシャワーを浴びておいて良かったと思った。
イケメン配達員に自分の汗と牝の匂いを嗅がせずに済んだからだ。
「これで終了ですが、いかがですか?」
それぞれのセッティングを終え、配達員が聞いてきた。
改めて部屋を見渡す。
ダイニングキッチンには小さなテーブルと椅子。
他には冷蔵庫と電子レンジに食器棚。
実はリビング兼寝室の方に問題があった。
大きな掃き出し窓の右脇に、前の住民が置いていったファンシーボックスがある。
部屋の隅にあるから気にはならないが、狭い部屋だ。
インテリアの配置は効率的にしかたったので、移動を配達員に願い出たところ「いいですよ」と快諾してくれた。
それを反対側に移し、隣に購入した小さなローボード、上にテレビを置き、そのすぐ隣には押入れの引き戸が2枚あるので、家具類は片一方へ寄せることができた。
これで少しは部屋が広く見える。
「ではこれで終了ということでよろしいですか?」
「ありがとうございました」
茉莉花は深々とお辞儀をし、配達員を見送った。
引っ越し翌日でどうにか部屋としての体を成すことができた。
午後にはアルバイトの面接も控えている。
上京2日目にしてアルバイトも決まってしまえば、全てが丸く収まる。
配達員が帰ったのがわかったのだろう。
大家が訪ねて来た。
「もう荷の搬送は終わったかい?」
「はい、おかげさまで。早くから音を立ててしまって済みません」
「いやいや、儂はもっと早くから起きてるから大丈夫じゃが、向こう隣はまだ寝とるかもしれんな」
「あっ、そうなんですか?」
「今日は土曜じゃからな」
仕事をしていない茉莉花は曜日感覚をすっかり忘れていた。
「東京では隣近所に『これでもか!』ってくらい配慮しないとダメだからね!どんなトラブルがあるかわかんないんだから!」と母に言われたことを急に思い出した。
「でも、まあ大丈夫じゃろう。昨日は夜遅くまで…、うん」
と呟いたところで大家が言い淀んだ。

