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ジャスミンの花は夜開く
第4章 疑念
「ところで、どんなお部屋になったのかな?ちょっと見せてもらってもいいかの?」
「え、ええ、どうぞ。最低限のものしかまだないんですが、少しはお部屋らしくなったと思います」
「じゃあ失礼するよ」


手を後ろでに組み、ぐるりと部屋を見渡す大家。
赤の他人に部屋の中をジロジロと見られることには抵抗があるが相手は大家である。
しかも家賃を安くしてもらっている。
(仕方ないよね)と自分を納得させるより他になかった。


見られて困るようなものはなかったが、脱衣所の隅には汚したショーツがそのままにしてあったので、それだけは見られないように注意した。
大家の様子を背後から窺う。
どうやら浴室や洗面台には関心がないらしい。
ホッと一安心すると、今度は大家の後頭部に目が留まらずにはいられなかった。
昨夜の淫夢に出て来た、あの男の後頭部に瓜二つなのである。
頭の形、髪の長さ、白髪の混じり具合。
どれを取っても、あの男そのものなのである。


(えっ、あの男って大家さん?どういうこと?)


自分の見た淫夢の登場人物が目の前にいる…。
そう思うと、更に大家の後頭部に気を取られてしまった。


そしてこの声。
昨日の夢に出て来た男の声に良く似ている気がする。
少ししわがれた感じの声。
抑揚も同じだ。
何より語尾に「じゃ」を付けるところ。
そして一人称が「儂」であるところ。
身近なところでその二つを持ち合わせる人物は大家しかない。
引っ越ししたその日に大家が出て来る淫夢など見るものはずがないのだが…。


すると突然大家が振り返った。
ハッと我に返ったが、目と目が合った。


「ん?なんじゃ?儂の頭に何か付いとるか?」
「い、い、いいえ!何も!」


大家の目の奥に何か光るようなものを見た気がしたが、茉莉花は(私がいけない妄想をしているからよね)と、すぐに打ち消した。


「若いお嬢さんの部屋に上がらせてもらって悪かったの。綺麗に配置されとる」
「あ、あっ、そうですか?」
「うむ。あのファンシーケースも活用してくれているようで助かる」
「あ、あれは私にもありがたいです。収納を買わずに済みましたので」
「じゃあ儂はこれで失礼しようかの」
大家は満足気に茉莉花の部屋を後にした。
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