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ジャスミンの花は夜開く
第1章 発見
茉莉花は東海地方にある高校を卒業後、県庁所在地にある芸術系の専門学校に2年通い、この春に卒業。
就職先を憧れの地、東京にこだわり過ぎたため、東京での内定が返ってひとつも貰えなかった。
会社よりも東京にこだわっていることを見抜かれたのである。
地元のアパレルメーカーからはひとつだけ内定が出て就職してみたものの、ちっとも楽しくない。
県庁所在地と言っても所詮は田舎町。
刺激がないのだ。
1ヶ月も経たずに退社し、今はこうして住居とアルバイトを探しながら、この町を漂っている。


どこをどう歩いたのか、茉莉花は今まで足を踏み入れたことのない路地に迷い込んだ。
「あれっ?こんなところあったっけ」
スマホで現在位置を確認する。
しらみつぶしにこの町を歩いたつもりだったが、どうやらこのブロックは未踏の地だったようだ。
目の前に見たことのないアパートが現れた。


1階と2階に扉が3つずつ。
外廊下に外階段。
刑事物のドラマに出てくるにはおあつらえ向きのアパートだった。
外階段の柵に「コーポ弥生」とあった。
茉莉花はもう一度スマホを取り出し、賃貸住宅検索のアプリをタップした。
どう検索してもこのアパートの名前は出て来ない。
「どうして?…」


茉莉花が必死になってスマホをいじっていると、1階の一番奥の扉が開き、一人の老夫が出てきた。
がっちりした体躯にごま塩頭。
小綺麗な格好。
資源ゴミの回収ボックスを両手にぶら下げている。
アパートのゴミの管理をしているところを見ると、茉莉花にはその老夫が大家のように思えた。
視界に茉莉花が入ったのだろう、彼が声を掛けて来た。


「ん?この辺りじゃ見掛けん顔じゃが、何かご用かな?」
微笑んだ顔は大黒様を思わせる。
「あ、あの、私、この町で部屋探しをしている者なんですが…」
「部屋探しかい?」
「ええ、この町に住みたくて」
「そう。それは運命かもしれないね」
「はぁ?」
「今さっき、部屋に空きが出てね」
「ほ、本当ですか!」
「大家の儂が言うんだから本当じゃ。いくらスマホを弄っても出て来んだろう。さっきまで空き部屋がなかったからの。儂はこのアパートの大家の杉野清じゃ」
「は、はじめまして!私、楠茉莉花と申します」

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