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ジャスミンの花は夜開く
第6章 誘惑
玄関を背に座った営業マンの向かいに、大家である杉野清、その隣に楠茉莉花が座っている。
大家の放った言葉の威力が強かったのか、営業マンは「いや…しかしですね」と言うのがやっとだった。
茉莉花も茉莉花で、どう反応したらいいのかわからないでいた。
場の空気を読んでいるのかいないのか、大家は続けた。


「まあ、そういうわけじゃから、今日のところは遠慮してもらえんかの?」
「でしたら尚更ですよ、杉野さん!」


一度口ごもったものの、さすがは投資信託の営業マンだ。
食い下がるかと思いきや、それに乗じて「先々のことを考えれば余計、今がチャンスですから」と言い始めた。
きっとマニュアルでもあるのだろう。
セールストークを続けようとする。


「お前さんもわからん人じゃ。結果的にじゃが、愛する二人が一緒にいるところへ邪魔することになったわけじゃろ?『ではまた日を改めて』と言って失礼するのが社会人たるものと違うか?」
「それもわかりますが…」
「儂らはの、まだ付き合いたててでの。こうした生臭い話は一緒にいるときは遠慮したいんじゃ」


せっかくの機会を邪魔されたくないと言う大家。
それを逆手に取ろうとする営業マン。
どうしていいかわからず、ただ俯くしかない茉莉花。
三者三様の思いが蠢いていた。


すると大家の杉野がいきなり茉莉花の肩に手を回した。
そして、二の腕を撫で回す。
茉莉花は体をビクッとさせるほど驚いた。
営業マンも目を見張る。


「茉莉花は儂に会いたくて来たのにのぉ。二人の時間を邪魔されたくないじゃろ?」
「は…はい…。せ…せっかくの…時間…なので…」


大家の目は『うまく立ち回れ』と言っている。
茉莉花はそれに従うしかない。
それが入居の条件なのだから…。


「しかし杉野さん。その女性、本当に彼女さん何ですか?姪っ子さんを彼女に仕立てて僕を追い出そうとしてませんか?」


アポイントメントを反故にされ、営業マンはそのまま引き下がらない。
すると大家は今度は両手で茉莉花の肩を抱いた。


「そんなことして何になる?茉莉花は儂の虜なんじゃ。そうじゃろ?」


そんでもないセリフだった。
茉莉花が彼女のフリをすることは同意していたが、あまりに飛躍している。
どう反応していいのかわからない茉莉花であったが、従うしかない。
しかし、せめてもの抵抗をしようと言葉を選んだ。
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