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ジャスミンの花は夜開く
第9章 崩壊
これまでに感じたことのない大きな官能の波に飲み込まれていくのが、茉莉花自身にもよくわかった。
今までこんな絶叫を伴った絶頂など得られたことがない。
逝ったと思っていたものでも、次元が違っていた。
それは昨夜からのスパイスがもたらしたものなのか、それとも大家である杉野清のテクニックによるものなのかは、わからなかった。
執拗に責めを止めない大家に、これ以上身を委ねるわけには行かないと思った茉莉花は、このセリフを吐いてしまった。


「な…何でもしますから。ゆ…許してください…。で…でないと、わ…私、どうにか、な…なっちゃいそうです…」


茉莉花にとっては何気ないひとことであった。
これから逃れるにはこう言うしかなかった。
しかし、受け取り手にとってはこれ以上イニシアチブを握れる言葉はなかった。
大家はまるでその言葉を待っていたかのように、眼光が今まで以上に鋭くなったように茉莉花には見えた。
顔を上げた大家の口の周りには、茉莉花が分泌した透明な液体でベタベタになっていた。
それを手で拭いながらペロッと舐めた。


「そうかい、許して欲しいかい?」
「は…はい…、も…もう…ダメです…」


じっとりと掻いた汗は茉莉花の顔に玉のように現れ、長い髪がだらしなくへばり付いている。
チークを濃い目に引いているかのように見える頰は完全に紅潮し、まるで酒にでも酔っているかのようだった。


「気持ち良かったかの?あんなにされたのは初めてじゃったか?」


はい、と言うことができずに、茉莉花はただコクリと頷いた。
ふと股間が気掛かりになり、股を閉じようとしても、そこには大家の頭がある。


『こんな格好で、私、イってしまったのね…』


恥ずかしいはずなのに、なぜかゾクゾクっとしてしまう。
初対面とは言えないが、まだ出会ってからほんの数回しか経っていない男、しかも親子以上に歳の離れた老夫にイカされてしまったことにも、心がざわついてしまっている。


息を整えようと試みている茉莉花のことを知ってか知らずか、茉莉花の股間に顔を埋めていた大家がムクッと起き上がった。


「あんたはイケて良かったかもしれんが、儂のこれはどうしたらいい?ほれ、見てみぃ」


全裸になっている大家の体の中心には、目を背けたくなるようなグロテスクな生殖器が屹立しながら、天井へ向かってカーブを描いている。
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