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そんなの聞いてない!!
第1章 ウワサ
「七隈。どういうことか、もう少し詳しく話してくれる?」
「あ……そうですよね。端的に話しすぎてわかりにくかったですよね。すみません」
「いや、俺の理解力が追いついてないだけかもだから……」
願わくば――、
「私じゃなくて、友達の話なんですけど」パターンであってくれ! 頼む!
テーブルの下で両手を握り、密かに祈る。
「私……性欲が強すぎて、困ってるんです」
数秒間の祈りもむなしく、心臓をギュッと握られてるような感覚がする。
「そ、それは……どう、どんなふうに困ってるの?」
「どんなふう……?」
「うん。た、例えば……彼氏とじゃ、満足できないとか……日常生活に支障をきたしてる、とか……」
――ぐふ……っ。
自分で言って自分にダメージを食らってしまった福浜が心の血を吐いている中、七隈はきょとんとした顔をしていた。
「あの……福浜先輩。何か勘違いされてるかもしれませんが私、彼氏はいません」
七隈の言葉に心の血が一気に止まる。
「えっ!?」
「その……この際だから言いますが、恥ずかしながら……まだ、そういう……経験も、ありません……」
「マジでっ!?」
思わず身を乗り出す福浜に、七隈は驚いたあと急に目をそらしてモジモジし始めた。
――え。も、もしかして、恥ずかしがってる?
よく見ると耳が少し赤くなってる。
――か、かわいすぎんだけど……っ。
七隈のかわいさにやられて息切れ動悸がすごい。
そんな俺をちらりと見て七隈は少し迷ったそぶりを見せたあと、意を決したように口を開いた。
「今までは……自分でなんとかできてました。だけど……最近、自分じゃ満足できなくなって眠りも浅くなっちゃって……。このままじゃ、日常生活はおろか……業務にも支障をきたすんじゃないか。そう思い至って、市崎先輩に相談したんです」
「……は?」
何でそこで市崎の名前が出てくる? と低い声を出す福浜を見て七隈は、わかります。とでも言うようにうなずく。