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青い煩い、少女の情動。
第2章 バスケ部室という、
私の気分の落ち込みようといったらない。響君にあんなに可愛い幼馴染がいるとは知らなかった。響君は普通の感じだったけれど、暁さんはいかにも響君に気がありそうだった。強力なライバルの出現にいよいよテンションが下がる。鬱々とした思いを抱えてコートに戻って行く最中、テトテトという足音がこっちに戻ってきた。私の目が小走りの響君の姿を映す。そして彼は
『若宮さん。バスケ頑張ってね。』
とそれだけ告げて、またテトテトかえっていった。数秒の放心の後、頬がとてつもなく上気して心臓が拍動を加速させた。試合はもう再開していて、コートに帰還した私を気にするメンバーはいなかったが、キャプテンだけはチラッと私の方を見た。
その後の私の活躍ぶりは語るまでもないだろう。
『今日、莉央すごかったねー』
『キレキレだった。ドライブ一回もついていけなかった。』
『ねー』
部活の後、皆んなが部室で着替える際の話題は私のプレーで持ちきりだった。いつもの数倍いい動きができたが、その分いつもの数倍疲れた。全身ヘトヘトだ。響君にかっこいい姿を見せたいからといってあんなにはしゃいでしまった。体力はすっからかんで、帰りの自転車さえ漕いで帰れるかどうか怪しい。
替えの下着も持ってきていないので、着替えようにも着替えれない。本来であれば、単に忘れたと言えば済むのだろうが、びしょ濡れになった白いレースの下着はどうやっても説明がつかない。
『莉央、どうしたの?着替えないの?』
一向に着替える様子のない私にチームメイトが声をかけるが、
[疲れたからちょっと休憩してから着替える。]
とはぐらかすことしかできない。ふーん、と特段気にした風でもなさそうにそのチームメイトはシャツのボタンに手をかける。汗拭きシートや制汗剤の匂いが混ざりに混ざってに独特の匂いを醸している。
1人また2人とお疲れ〜という言葉と共に部室を出て行く。私はバッシュの手入れをしたり、ボールを磨いたりして精一杯時間を稼いだ。そしてやっと
『お疲れー。莉央、最後鍵閉めて帰ってねー。』
キャプテンが部室から帰っていった。
ふーっ、と思わず溜息が漏れる。
こんなことになるんだったら図書室で我慢すれば良かった。