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青い煩い、少女の情動。
第5章 視聴覚室(またの名を……)
[うー。お股がすーすーするよぉ。]
私が行っている暴挙とはつまり、下着を履かずに登校することだ。流石に何もなしはまずいと思ったので、ふとももまでの黒の短いスパッツを履いて自転車に跨った。自転車で人とすれ違うたびに視線がこちらを向いていないか確認してしまう。
流石にこの速度だとバレないと思うけど、信号で止まった時とかは気が気じゃない。私が履いているのはとても目が粗いスパッツなので、スパッツの上からでもうっすらと肌色が見えるのだ。おまけに秘部にぴたりとくっつくのでいやらしい割れ目が主張されている。
[うぅー恥ずかしい……。]
ペダルを漕ぐたびにスカートの壁を突破した風がタイツを撫でる。快楽以前にぞわぞわとした感覚に身震いが止まらないのだった。
『莉央っ、おはよー……?どした?なんか元気なさげ?』
あいも変わらず美琴が真っ先に私に声をかけてくる。
[全然っ。ちょっと寝不足なだけ。]
美琴は私の変化に敏感だ。以前悪ふざけでスカートの中に手を入れられたことがあるだけに警戒の色が少し強くなる。
『ちゃんと寝ろよー。胸が育たないぞー。』
[余計なお世話っ!]
貧相な私と違って、美琴は胸がそれなりに大きい。流石に木城さんほどでは無いが十分魅力的な体躯をしている。
私がふんっといじけて席に座ると、下世話な話に戸惑っていたらしい響君がテトテトと近づいてきた。
『若宮……じゃなくて、莉央、おはよう。』
その一言に隣の席の美琴はもちろんそれを聞いていたクラスの皆んながそわそわと浮き足立った。当の本人は全然気がついてないようで、
『自動式人形、どこまで読んだ?』
と、私に目を輝かせて質問する。
[結構読んだよっ、今ベラスケス王子が、マルガリータ王子に手紙を出したところ。変な鷲……だっけ?、が手紙を持って100kmも遠くに運ぶなんて凄いよね!]
『うん、伝書鷲だね。あのシーンはいいよね、ベラスケスが手紙の文面に苦悩する様子がとてもリアルで、僕も感情移入してしまったよ。]
2人だけのの世界で、2人だけの会話が繰り広げられているのを周りは呆然と眺めるだけだ。
チャイムがHRの開始を告げるまで、私たちは年甲斐もなくはしゃいでいた。
勿論、私はその時昨日の夢や現在の状況などすっかり忘れていたのだが。