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青い煩い、少女の情動。
第5章 視聴覚室(またの名を……)

[ギリギリセーフ……。]

授業が始まる数分前に教室に帰ってきた私は周りに誰もいない状況を不審に思い、時間割を思い出して絶望した。二時間目は移動教室だったのだ。やばっ。私は教科書、ノート、筆箱を抱えて小走りで視聴覚室に向かった。

そして、視聴覚室の席に着いたと同時にチャイムが鳴った。

『莉央、ギリギリだったね。』

ゆるい傾斜の階段教室になっている視聴覚室では私の前の席に響君が座っている。響君は苦笑しながら話しかけてくれた。

[ぅ……次視聴覚室なの忘れてた……]

『お疲れ様……。』

[疲れたよぉ……]

私たちの教室から視聴覚室まではかなり距離がある。その道のりを私は小走りで来たのだから、息が上がるのも仕方ないだろう。

『今日は、平和に関する映像を見ます。』

先生はハキハキした声で淡々と告げる。この授業もうちの学校で力を入れている平和教育の一環だろう。名前の通り視聴覚室は映像を見る部屋だ。黒板の代わりにプロジェクターが設置されている。両隣には大きなスピーカーが設置されているためこの教室は音楽の授業でも使われるのだが、それでも月に一度使うか使わないかだった。

パチっという音と共に蛍光灯の光が落ち、辺りはかなり薄暗くなっている。プロジェクターの眩い光を皮切りに、映像と音声が部屋を満たす。

『日本は1940年から……』

平和に関する映像とはつまり退屈だということだ。映像が10分もしないうちにクラスメイトがぽつぽつと居眠りを始める。先生はもう諦めているのか生徒を起こしに行くこともせず自分の席でじっと映像を見ている。前に座る響君は真剣な様子で映像に見入っている。彼の顔を見たくて、私は空席になっている一つ隣の席に移動した。相変わらず惚れ惚れとする首すじだ。細くて白い首はスマートな響君を象徴している。横顔もうっとりするほど綺麗で、睫毛が長くて女の子みたいだ。
映像そっちのけで響君に魅入っていると、私の移動に気がついたからなのか、それとも視線を感じたからなのか、響君が私に流し目を送っていた。心臓が跳ねて横隔膜が収縮する。

あっ、目があった。

それをわたしが慌てて逸らすと、響君は何事もなかったかのように視線を映像に戻した。

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