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青い煩い、少女の情動。
第1章 図書室の誘惑
 

『うん。本に興味がある人が少なくて、一緒に話ができる人がいなかったから。』

[そうなんだ。]

『是非、僕と話をしてくれたら嬉しいな。』

[私まだ全然本読んだことないけど、いいの?]

『うん。これから、読んでいこうよ。』

頬が、胸が、全身が熱い。あぁ、美琴ほんとありがとう。親友への感謝と響君と話せることの喜びが全身を駆け巡る。

『そうだねー、あんまり本を読んだことがない人には、夜崎なこ の本がオススメかな。』

[なこ?]

『そう、夜崎なこ。彼はファンタジー色強めな作品を書くことが多いんだけど、設定が分かりやすくて、文章が綺麗で、登場人物が余すことなく躍動するんだ。特に"自動式人形"がオススメかな。さっき読み終わってちょうど今返しに来てたんだよ。』

響君は小脇に抱えていたその本を両手で持ち、私に差し出してきた。表紙には美麗な少年のイラスト、あっ若干響君に似てるかも、そして格式高い装填。私は宝石を扱うかのようにゆっくりと丁寧に受け取って両手で胸の前に抱き寄せた。

『ごめん僕、これから用事があるから先に教室帰るね。貸し出しの手続きは僕がやっておくよ。』

響君は図書室の時計を一瞥して、そして申し訳なさそうに私に告げた。悲しさと寂しさと名残り惜しさが胸を締め付ける。

[明日も来ていいかな?]

そう口にする。

『うん。もちろん。その本の感想聞かせてね。』

響君はダイヤモンドのような笑みで返答した。そして委員の女の子に一言告げて、静かに図書室をあとにして行った。

[はーーっ]

私は大きく息をつく。これは決して溜息ではなく、響君と仲良くなれた、という満足感から来るものだ。思わずその場にへたり込んでしまいそうだ。心臓の高鳴りは未だ治らない。心臓ってこんなに早くなるんだ。身体中の血が血管を流れる様子が感じられる。

[顔赤くなってなかったかなぁ、]

後になって、こんなこと話せば良かったとか、上手く喋れなかったなぁとか、後悔の念が湧き起こる。でも、

[そっかぁ、明日も話せるんだ。]

こんな日々が毎日続くといいなぁ、なんてそんな感傷に浸っていると、ふと

[待って、今気づいたけど、私今日中にこの本読まないといけない?]

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