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青い煩い、少女の情動。
第8章 布団の香り、
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雨は依然、土砂降り。なんならどんどん強くなっている様子だ。何?どこからともなく台風が沸いてきたのだろうか。帰りに自転車で帰るのは憂鬱だ。いっそのこと自転車を置いて歩いて帰ろうかなぁ。
『風強いねー』
[うん。]
窓に当たる風が笛のように甲高い音を発生させて、私の勉強の邪魔をしてくる。私は今は理科の勉強をしている。覚えること多すぎて頭がオーバーヒートしそうだ。
『係数がわからない時はね、1番複雑な奴を1と思って、考えてばいいんだ。』
[いち?]
『例えばね、HF+SiO2→H2SiF6+H2O の係数がわからないとするでしょ?』
[うん。]
『それで、1番複雑なH2SiOF6の係数を1って考えたら、Fの数に注目して、HFの係数が6になるでしょ?SiO2の係数は1で、後はHとOの数を比べてH2Oの係数が2って分かる。』
[なるほど……。]
『もし、ある物質の係数を1とした時に他の係数か1/2とか分数になったら、後で全体に2をかければいい。』
[ふんふん……。]
『もっと難しい化学反応式は違う解き方もあるけど、今のところはこの方法で解けると思うよ。』
[ありがとっ。]
理科は苦手だ。単に、覚えることが多いからなのだが、計算もあるし、問題文は長いし、本当に嫌になる。
黙々と勉強する2人。刻々と時間は過ぎていく。
時刻はそろそろ5時。時間的にお開きになってもおかしくないが……。あんまり長居するのも良くないだろう。
問題がキリのいい所まで終わったところで私はオレンジジュースをきゅっと飲み干して、帰りの支度をする。
[そろそろ、帰ろっかなっ、]
そりゃ、名残惜しい。もっと響君と悠寿君と一緒にいたいという気持ちもあるが、今日は少し迷惑かけすぎだから自重する。
『えっ、莉央お姉ちゃん、もう帰っちゃうの?』
私の隣で行儀よく座っていた悠寿君が声を上げるが
[雨、酷くなりそうだし……。自転車でぱっーと急いで帰ろうかな?ビニール袋もらっていい?]
荷物に防水加工をして、強行軍に出ようとする。
とりあえずお母さんにお風呂沸かしといて、と連絡しとこうかな、と思って、ラインを開いた私に
[えっ?]
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