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青い煩い、少女の情動。
第8章 布団の香り、
思わず嘆息が漏れる。美琴がこれを知ったらどう思うかな。下着をつけていないのはお前が悪いだけやないかっー、って関西弁風で突っ込んでくれるかな。
何故ここで美琴が思い浮かんだのか、何故私はツッコミを期待していたのか、疑問は多く残るが、上がった息に邪魔された思考ではまるでまともに考えられない。

[もう一回……。]

私が懲りずに再び慰めを始めよとした時、

カチャ

ドアが開いた。
そのドアは響君と悠寿君が寝ているはずの子供部屋に通じている。

[……。]

私は息を潜めて、寝たふりをする。別に寝たふりなんかしなくても、普通にしてればいいのだが、後ろめたいことをしていたという罪の意識から、そういった行動をとってしまった。

ぺちぺち、裸足がフローリングを歩く音。

この足音は悠寿君かな?響君は多分靴下履いていたはずだし……。

私はポアロも脱帽するほどの名推理を発揮する。悠寿君なら安心と、徐に身体を起こして

[ひさっ?どうしたの?]

と言った。目はまだ暗闇に順応していない。
影はぴくっと少し動いて

『起こしちゃった?』

恐る恐るといった声が聞こえる。この声はやはり悠寿君だ。どうしたんだろう

[ううん。まだ寝てなかったから大丈夫だけど……、どうしたの?]

やっと目が順応してきた。かろうじて捉えた悠寿君の姿はひどく怯えている様子だ。彼は両手で上着の裾をぎゅっと掴んでいる。

『えっと……、ぁ……。』

不安げな視線が刺さる。何か言いづらいことがあるのだろうか。

[まぁ、とりあえずこっちにおいで?]

私は手招きして、悠寿君を布団に引き寄せて、近くにあった読書用のスタンドライトのスイッチを入れる。視界良好とまではいかなくとも、至近距離なら相手の眉の動きさえ分かるぐらいの明るさだ。

『莉央お姉ちゃんっ……。』

悠寿君は自らの下腹部に視線を下ろした。私もそれをおって視線を下すと。

[あっ……。]

膨らんでいた。悠寿君のズボンが。

それはシマリス用のかまくらほどの小さな膨らみではあったが、
確かに普段とは異なったズボンの様子が伺えた。

『えっと……。寝ようと思ってお布団に入ったら、朝のお風呂のこと思い出してちゃって……。急に僕の……大きくなって……。それで頑張って寝ようとしたんだけど、全然治らなくて……。』
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