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妻の過去 ~知りたい夫と知る男~
第5章 過去への扉
テーブルの対角に座っている妻と川島は、
お互いに身体を乗り出すように腰を浮かし、何かを覗き込んでいます。
スマホです。
川島のスマホを二人で覗き込み、画面を見ながらボソボソと話しています。
時々、お互いの顔を見合せながら。
ですが、その顔の距離がかなり近い!
夫婦でもカップルでもない男女の顔の近さではない。
そのままキスするんじゃないかと思うくらい近い!

「まだこんなの残してるの?」
「そうだよ。消さないよ。」
「ちょっと、やめてよ…」

あくまでボソボソと小さな声で、そして嬉しそうに、
少なくとも妻は嬉しそうな顔を川島に向けていました。

私が覗き込んでいるのも気付かないくらい、二人は夢中になっているのです。

(やはり、コイツらは何か隠している。
私に知られてはいけない何かを…)

私は心臓がバクバクするのを抑えつつ、
再びそっとトイレに戻り、水を流し席に戻りました。

妻と川島はさっきまであれほど近寄っていたはずなのに、
二人とも普通に座っていたのを見て、
私だけが除け者にされたような、
嫉妬と怒りが混ぜ合わさり、別の感情が芽生えてきまし。
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