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妻の過去 ~知りたい夫と知る男~
第6章 決断
私がトイレに立ったのをいいことに、
コソコソしていた事への嫉妬、怒り。
それ以外に湧いてきた感情は、怖さと欲望の鬩ぎ合いでした。

私の目論見ではこの後、酔っ払ってダウンし、私だけが寝室で寝たフリをする、
そのつもりでした。

しかし、そんなことをしていいのか?
そんなことをしたら、妻と川島は、どうなってしまうのか?

今はもう私の妻であり、子供達の母親になっている妻が、
川島という他人と間違いを犯すのではないか。
そうなった時の怖さ。

そして、私の妻であり子供達の母親である美奈が、
私以外の男と間違いを犯すという、
所謂、妻が寝取られるという状況への私の性癖、欲望。
いざその岐路に立つと、その決断に必要な勇気とエネルギーは、
絶望的なほど大きい事に気付かされました。

この二人が過去に何かあったのか、
妻の過去に何があったのか、
まだ何も分からない。

だが、何かあったのは間違いないと思えるこれまでの出来事。

なるようにしかならない。
怖じ気づいた私は、
何かに取り憑かれたように、そしてその決断から逃げるように
酒を煽りました。
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