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妻の過去 ~知りたい夫と知る男~
第7章 開封
私が座った席の向かいで、妻が片付けようとする使われた後の二人分の食器。

(あっ…)

それが横並び、隣同士に並べられているということに気付いた。

これが違和感の原因…。

向かい合わせや対角に座るはずだろう。
なぜ隣同士に並んでいる。

コーヒー、トースト、目玉焼き、サラダ、
休日のいつもの朝食が並べられる。

私は週末の朝はいつも、朝食に手をつける前に熱いコーヒーを2杯飲む。

今日もコーヒーを飲みながら、考えていたのは
昨夜の事だ。

記憶をなくす前のことを、何とか思い出そうとするが、
頭痛が先にきて思い出すまで行かない。
隣同士に並んだ二人分の使用済み食器の違和感、
そして、妻の少しキョドった態度にも違和感を感じる。
何かを探っているような感じがする。

その答えは、テーブルの裏側に取り付けた、レコーダーにある。

このレコーダーに違和感の正体、
そして妻と川島の過去が詰め込まれているに違いないと、
直感に近いものがあった。

ただ、そのレコーダーに録音されているであろう中身を
冷静に内容を受け止めるには、
この二日酔いを何とかしなければならない。

この日はコーヒー 一杯で飲み終わらないうちに、
トーストに手をつけ、胃腸薬と痛み止めを飲んだ。

薬が効いてきたのは、午後1時を回ってからだ。

妻が夕飯の買い物に家を出たのを見届けると
寝室でレコーダーを再生させた。
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