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妻の過去 ~知りたい夫と知る男~
第2章 武勇伝
「そこになんと、社長が乗り込んで来たんです。」
「えっ、最悪じゃないか。それでどうなったの?」
「何でも前から奧さんの行動を怪しんでたらしく、
興信所に調べさせてたようです。
すっかりバレちゃってました。
で、その場にいた全員現行犯でtheエンド。
僕は当然クビ、他の社員は今日だけ、しかも無理やり誘われてってことで
減給とかで済んだみたいです。」
「まあ、君は仕方ないとして、他の社員には甘くないかい?
自分の奧さんをそんな風にされちゃってさあ。」
「そうでしょ?大甘ですよ。」
「それでその奧さんは?」
「やっぱりと言うか、社長に追い出されたみたいです。」
「可哀想に。キミと関係を持ったばっかりに。」
「そりゃないですよ。元々誘ったのは奧さんの方からだったんですから。」
「ハハハ、そうか。でも残った社員達はどうなんだろ?
居づらかったんじゃないのかい?」
「僕はクビになったんで良く知らないんですが、
社長にはずっと頭が上がらないと聞きましたよ。そりゃそうでしょうね。
まあそれでも、奧さんを追い出しても社員をそのまま雇ってるんだから、
社員の家族のことも考えてるんでしょうね。
立派な社長です。」
「そんな立派な社長を君は裏切った、と。」
「そう言われると辛いですけど、仕方ないですね。」
「クビになってその後社長から何もなかったのかい?」
「何もないですね。まあ慰謝料請求と言っても、僕から取れる金なんて、
社長の資産からしたらはした金なんでしょう。
その代わり社員全員にキツく口止めはされました。
この事は一切口外するなと。
したらどうなるかわかってるな?
とか言われて。」
「僕には話しちゃってるけど、いいのかい?」
「小沢さんに乗せられましたね。他言無用でお願いします。」

川島は頭を下げて言いました。
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