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妻の過去 ~知りたい夫と知る男~
第3章 誘導
「もっと君の武勇伝ありそうだけど、今夜はもう遅いからこの辺にしとこう。
そうだ、来週末あたりどうだい?
また君の話を聞きたいなあ。」
「そんなに僕の話面白いですか?」
「ああ、君の話をツマミに飲むと楽しいよ。」
「ハハハ、小沢さんがそう言ってくれるなら
僕の話なんかで良ければいくらでも。」

その夜はそこで解散となりましたが、
川島を翌週末にも誘ったのは、
途中でやめた先輩女子社員と関係してた話がずっと私の中に引っ掛かっていたからです。
私は川島が過去を語っている間、ある推測を立てていました。
それが当たっているかどうか、
知ることになります。

川島と飲みに行く翌週末までに、私はある準備をしてその日に備えました。

そしてその日も、この前と同じ店にしました。

席同士に間隔があり、店内はある程度ガヤガヤしているので
周りに話が聞かれる心配が少ないので都合が良いのです。

この前と同じように乾杯し
「仕事は慣れた?」などと世間話をしたあと、本題に移りました。

「さあ、この前言ってたように、今日も聞かせてもらおうか。」

川島は先週よりも滑らかな口調で話している間、
私は相槌を打ちながら、この後の事を考えていました。

学生時代は3股4股は日常だとか、
二十歳の時には40過ぎのスナックのママさんとも関係が出来ていたとか。
川島の口からはキリがないくらいに話が出て来ます。

そして酒も話も進んだところで、私の今日の計画の本題を切り出しました。

「明日は休みだし、この後ウチに来て飲み直さないか?」
「えっ、小沢さんの家で、ですか?」

私は川島の狼狽を見逃しませんでした。

やはり、私の予想が当たっている可能性がさらに出てきたな…。

「妻にも事前に言ってあるんだ、だから心配ないよ。
遠慮するなよ。」

もちろん、妻には同僚を連れてくることは了解してもらってますが、
川島だという名前などは伏せています。

「何か用事があるのか?無いなら寄っていけよ。
妻にもキミのために何か用意しとけと言ってあるんだ。」
「あ、そ、そうですか。それならお言葉に甘えて少しだけ…」
「遠慮するなよ。週末だから何なら泊まっていってもいいぞ。
気が済むまで飲もうじゃないか。」
「は、はあ…」

川島の狼狽は私の疑念を一層大きくした。

妻の過去に何があったのか、知っているのではないか。
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