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第4章 再会

「ただいま。お客さん連れてきたよ。」
「おかえりなさい。もう準備できて…」
「こんばんは。川島です。ご無沙汰してます。」
「あ、え？か、川島くん？うそ…」

妻の驚きと狼狽え、川島の落ち着かない表情が、
私の中で疑惑がさらに大きくなりました。

「川島から聞いたよ。同じ会社に居たんだって？」
「え、ええ…そうなの、もうずいぶん前のことだけど…」
「そ、そうですね、もうかなり昔のことなんで…」

ぎこちない空気がリビングを包む。
私は胸騒ぎを覚えつつも、平然を装いました。

「子供達は？」
「うん、実家に…」
「そうか。すまんな。ゴネてなかったか？」
「全然。」
「もう中３と中１だしな。それに二人ともおばあちゃん子だし。」
「うん、そうね…」
「なんだなんだ、お前ら久しぶりに会ったのに、
何だか大人し過ぎないか？
久しぶりの再会で、もっとこう、盛り上がるとか無いのか？」
「だ、だって、あまりに久しぶり過ぎて、何話せばいいか…」
「小沢さん、いきなりだからですよ。突然僕に来られて、奧さんだって、ねえ」
「そ、そうよ、先に言ってくれれば良かったのに。」
「驚かしてやろうと思ったんだよ。」
「心の準備だって…」
「何だ、そんな準備がいるのか？」

私の言葉に、妻も川島もギクッとした様子で黙り込んでしまいました。

何もなければ普通に再会を喜べば良いじゃないか？
それが無く、お互いよそよそしいと言うか、緊張していると言うか…。
この雰囲気は、過去に何かあったと思わざるをえないものでした。

「ああ、悪かった悪かった。まあ、飲もうじゃないか。」
「小沢さんも人が悪いなあ(笑)」
「キミに悪いなんて言われるとは思わなかったな。
君の方がよっぽど悪いことしてきたんじゃないのかい？(笑)」

川島にビールを注ぎながら少し大きな声で言うと、私の視線の端で
キッチンに立つ妻の背中が、一瞬凍りついたように見えました。

「ちょっと、奧さんの前でやめてくださいよ。」
「ああ、スマンスマン。(笑)」

さすがに妻の前で川島の武勇伝を語らせるわけにはいかない。