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黒薔薇学園の白い百合たち
第8章 らいと君とのリプレイ
職員室に帰ると
土方先生が難しい顔をしていた。
私が隣の席に着席すると
「やあ、C組のホームルームをお任せしてすいませんでした」と神妙に頭を下げてきた。
「土方先生…A組のホームルームで
騒動の原因がわかりましたか?」
「う~ん…それがどうもA組の男子生徒の事で揉めているらしいんです」
「えっ?!やっぱり?」
「やっぱりって…
日向先生、何かご存じなんですか?」
「それがね…これはあくまでも推測の域を出ないんですけどね…
C組のらいと君が夜更けに教頭先生が
一人の男子生徒を車に乗せて走り去ったそうなんです」
「その男子生徒って
山崎誠君ではないですか?」
「あ、いえ、名前までは…」
画像があるのでA組の担任の先生に見せればわかるかもと言いかけて、らいと君の盗撮癖がバレるのも厄介だわと由里は口をつぐんだ。
「土方先生、どうして山崎君だと?」
「いえ、彼が無断欠席していたものでね…」
そんな話をしているうちに
応接室の話し合いが終わったのか
教頭先生が晴れやかな顔で職員室にあらわれた。
「あっ!教頭先生!
話し合いは無事に終わりましたか?」
「話し合い?あら、何の事かしら?」
知らばっくれてはいるものの
やけに機嫌がいいので
無事に解決したということだろう。
教頭を追いかけるように
A組の担任がやってきて
「教頭先生、まことにすいませんでした」と
脂汗をかきながら何度も頭を下げた。