この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
黒薔薇学園の白い百合たち
第8章 らいと君とのリプレイ
「ああ、そうそう」
玄関で靴を履きながら
土方先生は思い出したように話し始めた。
「なに?」
「由里…今度の日曜日、時間を作ってくれないか?」
「日曜日?
今のところ予定がないから別にいいけど?」
「良かった。
実はさぁ…俺の実家に遊びに来ないか?」
実家に?
それって…
私をご両親に紹介してもらえるってこと?
「ご家族に私を紹介してもらえるの?」
思いきってそのように尋ねてみました。
「まあ…必然的にそうなるよな…」
嬉しい!!
勢いに任せたプロポーズをしてくれたけど
その後、態度が煮えきらないから
てっきり私の事なんてどうでもいいのかしらと
土方先生の事を疑いはじめていたから
素直に嬉しかった。
「あ、でも…ろくな訪問着がないわ」
「普段着でいいさ」
そうは言っても、
初訪問なのに普段着だなんて…
それに、紹介してもらえるのなら
ご両親には気に入って貰いたいし…
蓄えには余裕がなかったけれど、
訪問前の土曜日に落ち着いた感じのワンピースを買いに行かなきゃ…
「じゃあ、日曜日の午後五時に迎えに来るよ」
「えっ?そんな時間に?」
「お袋がね、ディナーを食べながら
話をしたいそうなんだ」
夕食と言えばいいのに
気取ってディナーなんて…
土方先生が何気なく言った言葉に
彼の実家がどのようなものなのか
その時点で察しておくべきでした。