この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
黒薔薇学園の白い百合たち
第9章 土方先生の実家にて
「ねえ、土方先生のご家族って
どんな方たちなの?」
私は少しでも情報が欲しくて
タクシーの中で何気なく聞いてみました。
「どんなって言われてもなあ…
一言で言うなら厳しい人だよ」
「あら…厳格なんですか?
それならもっとシックな装いの方が佳かったかしら」
「いや、多分あの人たちは何を着ていっても
絶対に小言のひとつや二つは愚痴るから
そんなに気にしないでいいさ」
『いやよ!
こういうのは第一印象が大切なんだから!』
厳格だと教えられて
私は憂鬱になっちゃいました。
「ほら、見えてきた
あそこが僕の実家だよ」
あそこがって…
土方先生の指差す方には
丘の上に一軒だけの大豪邸が迫ってきていました。
「うそっ!あの豪邸がそうなの?」
冗談抜きでビビってしまいました。
だって、見事な門構えですし、
まるで貴族が住んでいそうな大豪邸なんです。
「土方先生の実家って…
とんでもない大富豪なんですか?」
「大富豪かどうかは知らないけど
いわゆる成金ってやつじゃないかな…」
大きな門を潜り抜けて
重そうな扉の前に立つと
まるで、どこからか監視していたのか
ギギギぃ~っと重厚そうな音がして
大きな扉が開きました。