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黒薔薇学園の白い百合たち
第9章 土方先生の実家にて

そこには一人の女性が待ち構えていました。

私は慌てて頭を深々とさげて
「本日はお招きいただき恐縮です」と
丁重なご挨拶を申し上げました。

「婆やだよ」

「婆や?」

お手伝いさんって事かしら…

そのような使用人を雇うことができるなんて…

申し訳ないんですけど
私、ちょっぴりちびってしまいました。

「まあまあ、坊ちゃま…
お久しぶりでございます
奥様がダイニングで首を長くしてお待ちでございますよ」

そう言いながら
土方先生を屋敷内にお通しすると
あんたも着いてきなとばかりに
婆やさんは私の爪先からてっぺんまで
値踏みするように繁々と舐め回すように見た。

「なにしてんだい、早くおいでよ」

いつまでも広い玄関で佇む私を見かねて
土方先生は引き返してきて
私をエスコートするように腰に手を回して導いてくれた。


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