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黒薔薇学園の白い百合たち
第9章 土方先生の実家にて
屋敷はとても広くて
私のマンションなんかウサギ小屋のように感じてしまいます。
長い廊下の突き当たりの部屋が
どうやらリビングのようです。
ノックもせずに土方先生は部屋に飛び込み
私に「さあ、どうぞ」と部屋へ導いてくれました
『これがリビング?』
そこはまるで、映画のセットかと間違うばかりの
大きな部屋でした。
天井も高くて、調度品もすごく高価なものばかりです。
その広いリビングに
十数名ほど座れそうな
大きなテーブルが置いてあって
そこに一人の婦人が座っていました。
「母さん、ただいま」
土方先生は、その夫人に向かって挨拶をした。
私も挨拶をしようと
その婦人の顔を見て、思わず「あっ!」と
大きな声を上げてしまったんです。
だって、その人はファッション誌などでよく見かけるデザイナーの土方淑子さんだったからです。
「雅人、そのお方なの?
私に会わせたい女性というのは?」
私は驚いてしまって、
声を失っていました。
「まあまあ、挨拶も出来ないなんて
よく出来たお嬢さまですこと」
面食らっているうちに
相手から先制パンチを受けちゃいました。
私は慌てて「初めまして…日向由里と申します」と
消え入りそうな声でペコンと頭を下げて
自己紹介をしました。