この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
黒薔薇学園の白い百合たち
第9章 土方先生の実家にて
「それにしても、よく顔を出せたわね」
普通に生活をして
普通に教師の道を選ぶために
土方先生は淑子先生の服飾会社に役員としてグループに入ることを拒み
半ば家出のようにここを飛び出したのだとか…
「母さん、その事については何度も話したじゃないか、僕には僕のやりたいことがあるんだし」
「まあ、いいわ…
時間も時間だしランチにしましょ」
そして淑子先生は私に鋭い視線を送り
「あなたもせっかく来たんだから
ランチを食べて行かれてはどう?」と
まるで、ついでのように私を誘った。
「あ、いえ…
私は雅人さんとお付き合いをさせていただいてるとご挨拶に伺っただけですので…」
「あら?私と食事するのがイヤだとでも?」
「いえ!決してそんな訳では…」
「では、決まりね」
そう言うと淑子先生は
手元のベルをチリンチリンと振り鳴らした。
『うわぁ~!映画で大富豪のシーンを見たけど
本当にベルで使用人を呼ぶのね…』
音も立てずに扉が開き、
先ほど土方先生から「ばあや」と紹介された女性が
足音も立てずに婦人に近づいた。
「良子さん、皆でランチをしますので
用意をお願いね」
「奥様、すでに準備は別室にご用意しております」
「うふふ、さすがね」
さあ、ではダイニングに行きましょうか
そう言って淑子先生は席を立ったが
その時に初めて意外と小柄であることがわかった。
座っているときは案外と大柄な女性だと思えたけど
それが彼女の持つオーラで大柄な女性をイメージさせていたのだと気づいた。