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黒薔薇学園の白い百合たち
第9章 土方先生の実家にて
ダイニングテーブルには
これがランチ?と見間違うほどの
いくつものお皿が並べられていた。
淑子先生と対面に座らされたものの
なんだか座り心地が悪い。
いえ、椅子は豪華でよくクッションも効いていたけれど、なにぶんにもファッション界の大御所と
面と向かいあってなんて恐れ多くて生きた心地がしない。
「オヤジと兄貴は?」
ナプキンを広げながら
土方先生は淑子先生に尋ねた。
「あの人たちは会社で戦略会議があるとかで
夕刻まで帰ってきませんことよ」
「待ってくれよ!彼女を紹介するから
絶対に家に居てくれよと
あれほどお願いしてたのに!」
「あの人たちは金の亡者だから…
それに、この娘さんを
私が気に入るかどうかでしょ?
あの人たちは私の言いなりなんだから」
「それはそうだけど…
ごめんよ、由里…
みんなに紹介したかったんだけど…」
「いえ…私はこうして
自宅に招いて頂けただけで光栄ですし…」
あ~ん、もう早く帰りたい!!
何だか私が喋る度にジロリと睨まれて
一挙手一投足をチェックされてるみたいで
落ち着かないわ…
運ばれてきた料理の数々は
まるでディナーかと思うほど豪華なものでした。
でも、針の筵(むしろ)に座らされている感じがして
全然、味なんかわかんなかった。