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黒薔薇学園の白い百合たち
第9章 土方先生の実家にて
味気ないランチも終わり
食後のコーヒーを飲んでいる時でした
「あなた…ええっと、由里さんと仰いましたかね
あなた、将来的にどのようにお考えなの?」
まただ…
また人を射抜くような眼差しで睨まれる。
「将来的ですか?
長期展望はまだ見えていないんですけど、
今は高校教師を目指しています」
「ほう…雅人の実家がこのように
資産家であるとわかっても、
今すぐ妻の座に収まりたいとは思っていないの?」
「別に資産家がどうのとか、
そんなものは関係なく、
たまたま好きになった男性が雅人さんであり、
資産家であったと言うだけで
私には何の関係もありませんから」
「ふぅ~ん…それでは、
私が雅人と縁を切っても
あなたは息子に付いていくと言うの?」
「そうです
愛情は金銭で買えませんもの
私は土方先生…
いえ、雅人さんがいればそれでいいんです」
カチャ…
淑子先生は静かに
コーヒーカップをソーサーに置いた。
そして、急に思い出したように
「今日は暑いわね…
気温はいかほどかしら?」と
ばあやと呼ばれる女に問いかけた。
「確か外気温は30度越えだったかと…」
そう言ってカップに
コーヒーのお代わりを注ごうとして、
もう結構よと手で制された。