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黒薔薇学園の白い百合たち
第9章 土方先生の実家にて

「あのね…私まだ…正式にプロポーズを受けていないし、プロポーズの返事さえしていないのよ?」

「えっ?!あれっ?そうだっけ?
あの時のプロポーズは無効なのか?」

「そうよ、無効よ
あんな居酒屋で勢いに任せてアタックされても
いいわよなんて答えが出せるわけないじゃない」

「そうか…やっぱりそうだよな」

土方先生は私をハグから解放して
二、三歩後ろに引き下がった。

そしてスーツの内ポケットに手を差し入れて
おもむろに片ひざをついて私を見上げました。

「由里…僕と結婚してください」

スーツの内ポケットから取り出したのは
リングのケースでした。
パカッとケースを開いて私に差し出すと
中には小さいけれどちゃんとダイヤが付いているリングがキラキラ輝いていました。

「うそっ!?」

まさか、ちゃんとしたプロポーズをしてくるとは思っていなかったので、どんなリアクションをすればいいかわからず、私は立ちすくみました。

「リング…受け取って欲しい…」

揺れ動いていた気持ちが
ピンとまっすぐ土方先生に向かうのを感じた。

「こんな私でよければ…」

そう言って静かに左手を土方先生に差し出した。

「きっと幸せにするから」

土方先生はリングケースからリングを抜き取り
私の左手のくすり指にハメてくれた。

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