この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
黒薔薇学園の白い百合たち
第10章 一人だけの訪問
放課後、うまい具合に職員会議が召集され、
正規の教師ではない私は六時限目が終わると
即座に解放された。
急いで校門を出ると
黒塗りのベンツが校門を出たすぐそこに横付けされていた。
私は急いでベンツに近づいて運転席を覗き込んだ。
運転手の黒岩さんが私に気づくと
慌てて車を降りて後ろのドアを開けてくれました。
「お待ちしておりましたよ」
私を気に入ってくれたのか
黒岩さんは大層人懐っこい笑顔で出迎えてくれた。
「私一人だけ呼び出されたのって…
やはり、お義母様は結婚に反対なのかしら?」
私はそれとなく黒岩さんに探りを入れてみましたが
「さあ、どうなのでしょう…
私としては何とも答えようがありませんが」
車を発進させながら
「私は日向さまなら雅人様とお似合いだとは思うのですがねぇ…」と
私たち二人の事を応援していますと
ニッコリと微笑んでくれた。
ベンツは高台のお屋敷を目指して
ぐんぐんとかけのぼって行く。
屋敷が見えて近づいてくるにつれて
私の胃袋がキリキリと痛みだした。
今回もまた「ばあや」と呼ばれる女性の案内で
リビングへと通された。
「奥さま、日向由里さまがお見えになりました」
閉じられた扉の前で「ばあや」がそう告げると
「お入りなさい」と重苦しい声が響いた。