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黒薔薇学園の白い百合たち
第10章 一人だけの訪問
高慢な態度のお義母様の淑子さんとは違い、
会社を経営なさっているせいか、
お二人とも社交的で、
私を快く迎え入れてくれました。
「さあ、僕の隣へどうぞ」
立ち上がって椅子を引いてくれたので
私は仕方なく雅人さんと双子の兄である義明さんの隣に着席しました。
「顔が同じだから、こうして眺めていると
雅人と挨拶に来てくれた昨日を再現しているようね」
そう言いながら
「ほら、あなた、イメージがつきやすいでしょ?
こうしてみると雅人とお似合いだとわかるでしょ」と、旦那さんの義雅さんに告げた。
「ほんとだねえ、ほんと、二人はお似合いだ」
私はチラッと隣の義明さんを見た。
体格さえ見なければ、まるで雅人さんが隣に居てくれるようで何故だかホッとした気持ちになる。
ほどなくして「さあさ、ディナーにしましょう」と
お義母様の淑子さんが告げたので
「あ、いや…私、今夜はあまり時間がなくて…」と
そそくさと帰らせてもらおうとしましたが
「まあまあ、そんなことを言わずに
ゆっくりしていって下さいよ」と
お兄様の義明さんに肩をしっかり抱かれて
屋敷を後にするきっかけを奪われてしまいました。
ディナーでは、私の家系の事など
根掘り葉掘り聞かれてしまいました。