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黒薔薇学園の白い百合たち
第10章 一人だけの訪問

「やめてください!人を呼びますよ」

「まあまあ、そんなに頑なにならないでよ
幸いにも僕と弟は瓜二つなんだ
雅人に抱かれていると思えばいいんだよ」

義明さんは私にキスをしようと顔を近づけてくる。
酒臭い息が私の顔に降り注ぐ。

「いやっ!!誰か!誰か助けてぇ~!!」

「無駄だってば、今夜は仕組まれた夜なんだよ
土方家の安泰のためなら
使用人は誰一人として僕らの邪魔をしないさ」

抵抗して義明さんの胸を力一杯叩く。
彼は難なく私の手首を握って、それを阻止した。
そして私のくすり指のリングに気づき
「何だいこれは?
こんな安っぽいリングしか買えない男なんて忘れちまいな。僕なら何カラットでも君の望む指輪を買ってあげるさ」

心のこもっていない豪華な指輪より
私には心から愛してくれる雅人さんがくれた指輪の方が高価に思えた。

「そんなに嫌がるなよ!
顔だって同じだ!僕を雅人だと思って
結婚してくれりゃ幸せな生活ができんるだからさ」

色んな女と付き合ってきた僕の方が
多分、セックスも上手だぜ

そう言いながら
義明さんは私に無理やりキスをした。

不思議な感覚…
顔が似ているだけでなく
唇の感触さえ瓜二つだったんです。

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