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黒薔薇学園の白い百合たち
第11章 女帝 淑子
義雅は経営手腕に長けていて。
赤字続きのブランドを
たちまち右肩上がりに立て直した。
容姿こそ、淑子の好みではなかったが
この男と組んでいけば
TOSHIKOブランドをメジャーに出来ると
淑子は自分から義雅にモーションをかけた。
あれはTOSHIKOブランドの初のファッションショーを開催する三日前の事だった。
あと二点のドレスデザインがどうしても決まらない
どうしても色気のあるデザインにたどり着けなかった。
これはおそらく、自分が処女で
男を知らぬ体ゆえに
色気を醸し出せないのだと理解した。
「社長、夜遅くまで大変ですね」
すでに帰宅したものだと思っていた義雅が
コーヒーをカップに注いで持ってきてくれた。
「あら、ありがとう…
まだ帰らないの?」
服飾には才覚がないので
彼が居残りしても何の役にも立たない。
「あなたはもう帰ってもいいのよ」
そのように言って
まるで犬でも追い払うように
手でシッシッとジェスチャーをした。
「ひどいなあ、僕はこう見えても
TOSHIKOブランドの一員ですよ
社長が頑張っているのにおめおめと引き下がれませんよ」
そう言って自分の隣に腰かけて
ジッと淑子の横顔を覗き込んできた。