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黒薔薇学園の白い百合たち
第12章 由里の失踪
スーパー銭湯の脱衣場で裸になると
留美子は私の胸を見ながら
「高校の時と変わらんなあ…
相変わらずのペチャパイやわ」
そう言ってクスクスと笑った。
「もう!人が気にしてることをズバズバ言うんだから!」
私は逃げるように湯船にとびこんだ。
「そやけど…そんなペチャパイでも
好きやって言ってくれる人がおるんやろ?」
遅れて同じく湯船に飛び込んだ留美子がそう言った。
「どうしてわかるの?」
「これや…」
そう言って留美子は私の左手を取って
湯の中から引っ張り上げた。
「由里、結婚したん?」
留美子は私の左手の薬指に光っているリングを見ながらそう言った。
「あ…うん…結婚っていうか…
プロポーズはされたんだけどね」
「なんや、喜ばしい話やのに
辛気臭いなぁ」
もう黙っているわけにはいかないと
私は大阪に逃げてきた一部始終を留美子に話した。
「えっ?ほな、双子の兄弟で
由里を取り合ってるん?
くぅ~!やっぱりモテる女は違うなぁ」
「茶化さないでよ…
こっちは真剣に悩んでるのに!」
「あ、ごめんごめん…
せやけど…両想いの人がいるんやったら
さっさと入籍して奪われんようにしたらええやん」
それが出来れば苦労はしない…
留美子には義明に抱かれたことだけは、
言わずにいたから歯がゆい感じがしているのだろう。