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黒薔薇学園の白い百合たち
第12章 由里の失踪
スーパー銭湯から帰宅すると
ようやく店じまいを終えた圭介が
店のテーブルに座ってタバコをふかせていた。
「すいません…ご厄介になっておきながら
先にお風呂を済ませてしまいました」
ペコリと私が頭を下げると
「かまへん、かまへん。
女は体を綺麗にしとくもんや」
そう言いながら二階を指差して
「留美子、宗一郎くん、来てるぞ
部屋にあがってもろた」と
早よ、行ったり、と留美子を急がした。
「宗一郎さん?」
「ごめん…私のコレなんよ」
留美子はそう言って親指を立てた。
はは~ん…なるほど、彼氏ってわけね
それじゃあ、私も挨拶を…
そう思って留美子について二階に上がろうとしたら
「由里ちゃん、風呂上がりには冷たいビールやで」
そう言って瓶ビールとグラスを私に差し出した。
「久しぶりの逢瀬なんやさかいに
二人だけでゆっくりさせたろやないか」と
有無を言わせずに私のグラスにビールをついだ。
『そうなのね…ラブラブタイムなのね』
思わずお邪魔虫になりそうな自分を恥じて
私は圭介の向かいに腰を降ろした。
「あいつな…今すぐにでも宗一郎くんと結婚したいはずやねん。
宗一郎くんも嫁に来てくれと言うてる…」
「そうなんですか…」
「そやけど、あいつ、儂(わし)を一人にでけんと言うて、プロポーズを先伸ばしにしとるんや…」
そんなん気にせんかてええのにな
そう言って圭介さんはビールをイッキ飲みした。