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黒薔薇学園の白い百合たち
第14章 土方先生の落ち込み
「由里ちゃんは?由里ちゃんも連絡がつかないんですか?」
日向先生の方が気になるとばかりに
山下光(らいと)が里中教頭に食い下がった。
「あの方とも連絡が取れません
まあ、あの子は教育実習生ですし
このままだと教員としての道は閉ざされるでしょうね」
「そんなの可哀想じゃん!!」
成美が里中教頭に飛びかからんばかりに詰め寄った
「こちらとしても無視してるわけじゃないのよ?
ご本人のスマホに何度も連絡しているけれど
ずっと繋がらないし、在学している大学側にも事情が知りたくて連絡したけど、あちらにも本人から連絡がないようで途方にくれていたわ」
他の生徒からも里中教頭は質問責めにされた。
『なんてことでしょう…
ここまで慕われているなんて教員冥利につきるわね』
里中教頭は生徒たちの思いに心を揺さぶられた。
「あなたたちに出来ることと言えば…
そうねえ、二人が見つかった時のために
処分が軽くなるように嘆願書でも集めてあげることね」
こんなにも慕われているなんて教諭ならば
なんとか穏便に事を済ませてあげたいと
学園長に進言するつもりになった。
「さあさ、あなたたちの本分は勉学に勤しむことよ、今は配布した自習用のプリントにしっかりと付き合いなさいな」
そう言って、これ以上、質問責めにされるのはこりごりだとC組の教室から逃げ出すように執務室に帰った。