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黒薔薇学園の白い百合たち
第14章 土方先生の落ち込み
- よぉ!沢渡くん、久しぶりだね -
馴れ馴れしく挨拶してくる『宗一郎』という男。
「すいません…どちら様でしたっけ?」
隣では早く通話を終えてセックスしたいとばかりに
香代が沢渡の体を撫で回す。
- おいおい、誰でしたっけって
ずいぶんなご挨拶じゃないか -
俺だよ宗一郎だよ
ジムで何度も一緒にトレーニングしたじゃないか
『ジム』というワードで
沢渡の記憶が鮮明になった。
「宗一郎さん?うわぁ~!久しぶりですね」
- よかった、思い出してくれたみたいだね -
「ゆっくりとお話をしたいところなんですが…
俺、今、手が離せなくて…」
女からの連絡ならば
愛想よく話を続けたいところだが
生憎と男には用がない。
- それはすまなかった。
ちょっと聞きたいことがあったものでね -
手が離せないと言っているのに
宗一郎は通話を切ろうとしてくれない
「じゃあ…後ほどこちらから連絡しますので…」
半ば強制的に通話を切ろうとした。
- 待ってくれ!一つだけ教えてくれ! -
切羽詰まった声に思わず
「なんでしょうか?」と聞き返してしまった。
- 君さあ…ジムで僕に『これ、彼女なんです』ってスマホの画像を見せてくれた事があったよね -
ああ…そう言えば、当時は由里に夢中で
隠し撮りした由里の画像を自慢げに宗一郎に見せてやったっけ…
当時の事を沢渡は鮮明に思い出していた。