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黒薔薇学園の白い百合たち
第15章 由里との再会
事故物件になどされては困ると
管理人さんは慌ててマスターキーを手にして
土方先生の部屋に向かってくれた。
「頼むから自殺なんてしていないことを祈るよ」
ガチャン!
マスターキーで土方先生の部屋の鍵がひらいた。
居てもたってもおられずに
香代が管理人を押し退けて部屋に飛び込んだ。
昼間だと言うのにカーテンが閉じられて
部屋の中は薄暗かった。
「先生!」
香代の後に続いて
続々と生徒たちは部屋の中に押し入った。
部屋に置かれているベッドと壁の隙間に
土方先生は膝を抱えてうずくまっていた。
ほんの数日、顔を見合わさなかっただけで
その体躯は一回りもふた回りも小さくなった気がする。
おまけに両目も落ち窪んで
人間って数日でここまで痩せれるのかと驚いた。
いや、それは痩せたというよりは
やつれているという方が正しい。
「先生!ハンストでもする気なの?!」
そんなことをしても仕方ないじゃない!と
成美は親身になって土方を叱りつけた。
「よかった…まだ生きていたね…」
てっきり首でも括っているのではないかと
心配した管理人は土方の生存を確認すると
その場にヘナヘナと座り込んだ。