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黒薔薇学園の白い百合たち
第15章 由里との再会

それでも土方は腰を上げようとしない

「情けない野郎だな!」

らいとが土方の胸ぐらを掴み
力ずくで立ち上がらせた。

「俺が根性を注入してやるよ!」

らいとの右フックが見事に
土方の左のこめかみにクリーンヒットした。

思いの外、見事にカウンターが決まり
土方の体が吹っ飛んだ。

「あれ?」

つい興奮してグーパンチしてしまったものの
カウンターが決まるとこんなにも吹っ飛ぶのかと
殴ったらいと自身が驚いた。

愛実にビンタされて赤くなっていた土方の頬が
みるみると腫れ上がってゆく。

「らいと!グーパンチはヤバイって!」

瞳が慌ててハンカチを水に濡らして
頬を冷やすために土方のもとへ駆け寄った。

「いててて…」

土方は瞳から受け取ったハンカチで頬を押さえながら立ち上がった。

「こらっ!らいと!!
教師を殴る奴があるか!!」

その怒声は、教室で聞くいつもの土方の声だった。

「わかったよ!
お前たちの望みどおりに由里を迎えに行く!
いいか、あくまでもお前たちの為だからな」

そう言うと水道の蛇口を捻って
水を勢いよく出すと
頭を流し台に突っ込んで
これでもかと頭を冷やした。

「みんな、ありがとうな
先生、どうかしてたよ」

一人一人にハグをしたいところだが
時間が惜しい

土方はみんなの顔を見回して
自分に気合いを入れるために
ウンと大きくうなずいた。

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