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黒薔薇学園の白い百合たち
第15章 由里との再会
「うそ…!」
突然現れた土方の姿に
由里は驚いて手にしていた丼を床に落としてしまった。
ガシャーン!!
激しく割れる音が食堂内に鳴り響いた。
「お騒がせしてすいませーん!」
食器などを落として割ってしまう事があるので
奥から現れた留美子は塵取りを手にして客たちに頭を下げた。
「もう!由里ったらどうしちゃったの?」
割れた食器を片付けて
留美子は茫然自失の由里に気づいた。
「えっ?どうした…の?」
留美子も由里の視線の先に目をやって
そこに佇む無精髭の男にビクッ!となった。
しばし、見つめあって固まっていた土方と由里だったが、ようやく振り絞るような声で
「雅人?雅人さんなの?どうして…」と言葉を発したので留美子はピンと来た。
「お父さん!由里ちゃん、休憩に入りま~す」
厨房に向かって大声で叫んだものだから
「ええ?今、最高潮に忙しいんだけどねえ」と
厨房から顔を覗かせて
見つめて対峙している由里と見知らぬ男の姿に
これはただ事ではないと
「あ、ああ、そうだね…由里ちゃん、ちょっと休憩しなよ」と由里の肩を抱いて家の奥に連れ込んだ。
「あんた、土方っていう人?」
由里の後を追って店の奥に進もうとした土方を
留美子は体を張って歩き出すのを阻止した。