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黒薔薇学園の白い百合たち
第15章 由里との再会
「いや、僕は怪しい者じゃないんだ
少しだけ由里と話がしたいんだよ」
土方は留美子を押し退けて
食堂の奥の部屋へ向かおうとした。
「わかってる!そやけどちょっと由里にも心の準備をさせたってぇな」
留美子は力任せに土方の体を押した。
「留美子さん、食堂はうちに任せてくれたらええから」
カウンターの隅でうどんを食べていた清美さんが
立ち上がって店の事を引き受けると申し出てくれた
「おおきに、そしたらちょっとだけお願いします」
これで心置きなく土方と話し合いができる!
留美子は土方の手をとると
強制的に店の外に連れ出した。
「せっかく東京から由里に会うためにきたんだ!
せめて少しだけでも由里と二人っきりにさせてくれないか」
土方は未練ったらしく
食堂の方に目をむけた。
「わかってる!わかってるけど
由里にも心の準備をさせたってえな
今晩…そう、今晩にでも時間を作ってあげるさかいに」
それまで通天閣に昇ったり
大阪の街を楽しんできたらええやんか、と
由里とのセッティングの約束をして
とりあえず土方に時間を作ってもらった。
渋々と引き返す土方を見送って
「よしっ、次は由里ちゃんやな」と
留美子は店に引き返して食堂の手伝いをしてくれている清美さんに『ごめん、ありがとう』と
手を合わせて頭を下げた。