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黒薔薇学園の白い百合たち
第15章 由里との再会
自分の作った料理を
清美がテーブルに運んでくれる…
なんだか将来的にこうなって欲しいなという光景に
圭介は自然と顔が綻んだ。
『これや!儂(わし)は清美とこうやって店を営みたかったんや!』
圭介はますます清美に惚れた。
将来的にとは言わずに
今すぐにでも後妻に迎え入れたいとおもった。
かたや、由里は食堂の奥の間で
ガタガタと震えていた。
雅人さんが来てくれた!
どうやってここを見つけ出したのかわからないけれど、ものすごく嬉しい反面、
ものすごく不安な気持ちで一杯だった。
「由里、大丈夫?
あの人やろ?あんたが忘れたいっていう人は…」
「留美子…ごめんね…ちょっとびっくりしちゃって」
「ううん、そんなんええんよ
あの人にもちょっと時間を頂戴ってお願いして
今は帰ってもろたさかいに…
一応…今夜、話し合えばええわ」
「うん…ありがとう…」
「まあ…うちらがとやかく言うことやないけど…
由里…自分に正直になったらええんやで」
まあ、夜まで時間があるから
それまでゆっくりと考えて答えを出せばいいと
ポンポンと由里の肩を叩いて
「ほな、うち、仕事に戻るわな」と
店の方に出ていった。
『自分に正直にか…』
全てを雅人さんに話そう。
自分はもう雅人さんに愛される資格はないのだと
全てを打ち明ける事に決めた。