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黒薔薇学園の白い百合たち
第15章 由里との再会
時計の針が夜の九時を示していた。
暖簾を片付けようと
留美子が店の表に出ると
丁度、土方が訪問してきた。
「えっと…昼間に来てくれた由里の…」
「はい、昼間は急に訪ねてきてすいませんでした」
最初は別人かと留美子は思った。
昼に訪ねてきたときは
無精髭で髪もボサボサだったのが
銭湯にでも行って身なりを整えてきたのか
髭を剃って髪もセットして
すっかり見違えるほどの色男になっていた。
「約束やもんね…
わかったわ、由里とゆっくりと話し合ってみて」
さあ、どうぞと土方を招き入れると
今日一日店を手伝ってくれた清美を労おうと
コップにビールを注ぐ圭介と目があった。
「言うとくけど…
由里ちゃんを泣かせたら承知せえへんぞ」
牽制のつもりか
圭介はギロリと土方を睨んだ。
夜に再訪問してくることを
娘の留美子から聞いていたので
ここは一つガツンと言っておこうと
圭介は思った。
しかし、その牽制をやんわりとかわすかのように
土方は何も言わずに、ただ頭を下げた。
「お父ちゃんは余計なことを言わんでええねん」
そこで清美さんとイチャイチャしとき!と慎まされた。
「ささ、こちらへどうぞ、
ゆっくりと由里と話し合ったらええわ」
留美子は土方を由里の部屋に案内した。