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黒薔薇学園の白い百合たち
第15章 由里との再会
「あ、ごめんなさい…これ、やっぱりお返しします」
私は慌てて左手のくすり指からリングを抜くと
雅人さんの前に差し出しました。
「いや…それは君にあげたものだから…
出来れば…そのまま…」
正座をしている雅人さんの膝に
ポタっと音を立てて雫が落ちた。
『えっ?』
私は視線を逸らさずにしっかりと雅人さんの顔を見た。
最初の一滴が流れ落ちたのに続いて
彼の瞳から次々と涙が溢れだして
何滴もの涙が彼の膝を濡らし始めました。
「母から全てを聞いた…
兄に鬼畜のような行為をされたことも知っている」
「うそ…」
今度は逆に私の瞳がウルウルと涙で潤み出して
これまでの感情が一気に溢れだして
とめどもなく涙がこぼれた。
「あんな人たちでも血の繋がっていることには変わりない…申し訳ない事をした…あの人たちに代わって謝らせてくれ」
本当に申し訳なかった
雅人さんはそう言って
額を畳に擦り付けるようにして
私に向かって土下座した。
「やめて!顔を上げて!
抵抗したけど受け入れた私も悪いんだし…」
「調子のいいことを言うつもりはないけど…
その事は忘れて欲しい…いえ、是非とも忘れて下さい!」
「そう言ってもらえて嬉しい…
でも、汚れちゃったもん…
私、汚れちゃったもん…」
そう言うのがやっとで
後は幼い子供のようにエ~ンと号泣していた。